離婚すると聞いていた不倫相手の奥さんから慰謝料を請求されました。支払わなければいけませんか?

執筆者:弁護士宮崎晃

悩む女性イメージイラストAさんの夫であるBさんは、Aさんとは離婚予定だから付き合って欲しいと言ってCさんに交際を申し込みました。

密かにBさんに恋心を抱いていたCさんは、Bさんの言葉を信じてBさんと付き合うようになり、やがてBさんとCさんは性的関係をもつようになりました。

しかしながら、Bさんがなかなか離婚をしないでいるうちに、BさんとCさんとの関係がAさんにばれて、CさんはAさんに慰謝料を請求されてしまいました。

このような場合、CさんはAさんに対して慰謝料を支払わなければならないのでしょうか。

 

婚姻関係にある夫婦の一方と性的関係に至った場合(不貞行為をした場合)、原則として、他方の配偶者に対し慰謝料支払義務を負うことになります。

083789もっとも、不貞行為時において既に婚姻関係が破綻していたような場合や、婚姻関係が不貞行為時に既に破綻していると過失なく信じていた場合については不法行為が成立せず、慰謝料の支払義務を負いません。

本件のような場合も、まず、AさんとBさんの婚姻関係が破綻していたかということが問題となり得ます。

例えば、BさんがAさんと離婚予定であるということが本当であり、すでに長期間の別居をしている等の事実がある場合には、BさんとCさんが不貞行為を行っていた時には、既にAさんとBさんの婚姻関係は破綻していたとして、AさんのCさんに対する慰謝料請求は認められない可能性があります。

また、仮に、AさんとBさんの婚姻関係が破綻しているとはいえなくても、Cさんが、AさんとBさんの婚姻関係が破綻していると過失なく信じていた場合には、AさんのCさんに対する慰謝料の請求が認められない可能性があります。

083785ただし、Cさんが、AさんとBさんの婚姻関係の破綻を過失なく信じていたといえるためには、婚姻関係が破綻しているというAさんの言葉を信じていたというだけでは足りません。

Aさんが、Cさんに対する誘い文句として破綻していることを示すような嘘をつく場合も十分に考えられるからです。

そのため、Cさんとしては、Aさんの言葉を裏付けるような根拠があったということを示す必要があります。

以上のように、不貞行為の慰謝料を請求された場合の反論としては、それぞれの事案ごとに様々な主張が考えられます。

急に慰謝料を請求されてどうすればよいかわからないと悩んでいる方は、是非一度、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

 

慰謝料の問題

法的判断が難しい

裁判慰謝料請求においては、そもそも不貞行為に該当するのか、該当するとして、破綻を主張できるのではないか、故意過失が認められないのではないか、仮に不貞行為が成立するとしても、慰謝料の額はどの程度が妥当か、などの様々な論点について、法的に判断しなければなりません。

これらについて、離婚を専門としている弁護士でなければ適切な判断は困難な場合があります。

 

冷静に話し合いができない

不貞慰謝料が問題となる事案では、被害者側・加害者側ともに、感情的になってしまい、冷静な話し合いが難しいことがあります。

話し合いでまとまらないと、裁判に発展する可能性があります。

 

訴訟は長期化する

カレンダーとペンもし、裁判となると、長期化することが予想されます。解決まで数年間を要するケースもあり、当事者双方の負担、弁護士費用の高額化などの問題が懸念されます。

 

離婚すると聞いていた場合の慰謝料のポイント

上記問題点を踏まえて、離婚すると聞いていた場合の慰謝料のポイントを解説いたします。

破綻していたか否かがポイント

デイライト法律事務所宮崎晃ご質問のケースは、相手から「離婚予定」と聞かされており、婚姻関係にあることの認識があった事案です。

このような事案では、婚姻関係が破綻していると信じたことについて過失があると認められる可能性が高いと思われます。

もっとも、相手と奥さんとの別居期間が相当長期間に及んでいるなどの事情があれば、破綻後の性交渉となり、不貞行為に該当しない可能性もあります。

したがって、破綻の有無が大きなポイントとなります。

なお、破綻の成否は、別居期間だけではなく、婚姻期間、これまでの経過、当事者双方の認識などの事情によって異なり、一概にはいえません。

そのため、不貞慰謝料に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

 

早期解決がポイント

電卓とお金破綻の主張が認められない合、慰謝料を支払う法的な義務があります。

この場合、いかにして早期解決をするかがポイントとなります。

多くの不貞事案を目にしていると、「不貞行為は行っていない」「自分は悪くない」などの反論がなされるケースがしばしばあります。

このように、事実をねじ曲げたり、自分を無理に正当化する場合、長期化する傾向にあります。

このような不誠実な対応は、被害者感情を傷つけるだけではなく、裁判となる可能性が高くなるからです。

被害者との対応のポイントとしては、誠実であるべきです。

「誠実」というのは、相手の言っていることをすべて認めるという意味ではありません。

事実をねじ曲げたりはせず、正直に事実関係を主張するという意味です。不貞行為があるのであればその限度で事実関係を認めるべきです。

もっとも、相手から「離婚予定」と聞かされていたのであれば、そのことを主張し、「相手の方の責任割合が大きい」との主張はすべきです。

また、被害者に対しては、謝罪の意を示す方がよいと考えます。

その上で、当該事案における適切な額の慰謝料の支払いには応じる、というスタンスが望ましいでしょう。

この点、被害者側から法外な慰謝料の請求がされることが多く見受けられます。

このような場合は、慰謝料の額については交渉すべきです。

 

示談書の作成

裁判になることなく、示談で解決できる場合、口頭での合意はお勧めしません。

特に、義務者側(慰謝料を支払う側)の場合、口頭での合意はトラブルの可能性があります。

例えば、慰謝料として100万円を支払った後、しばらくして、再度、金銭を請求されることがあります。

このような場合、被害者から、「100万円を受け取っていない」「100万円を受け取ったけど、額としては不十分だ」などと言われる可能性もあります。

このようなトラブルは、適切な示談書を作成することで、防止することが可能です。

清算条項とは
ポイントは、示談書の中に、「清算条項」という条項を加えることです。
この条項は、この示談ですべてを解決するもので、今後の請求等を防止する効果を持っています。
口外禁止条項とは
また、不倫の事案では、不倫のことを職場、家族、知人等に知られたくないと考える方が大勢います。
このような場合、口外禁止条項を示談書中に入れることをお勧めしています。
この条項は、示談の内容等について、第三者への漏洩を禁止するというものです。
紳士条項であって、強制力はありませんが、このような条項を入れることで、一定程度、口外を防止することが可能です。

示談書の記入例は当事務所のホームページからダウンロードが可能です。

 

 



「慰謝料」についてよくある相談Q&A


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