離婚したくないのに離婚届を書いてしまった!受理を防ぐ方法は?

掲載日:2019年10月17日|最終更新日:2019年10月17日

離婚届について質問です

夫婦喧嘩をした結果、カッとなった勢いで離婚届に署名と押印をして、相手に渡してしまいました。

相手は、明日には離婚届を役所に提出すると言っています。

しかし、私は、子どものことや今の生活もありますし、絶対にまだ離婚したくはありません。

このような場合でも、離婚届を書いてしまった以上、私は離婚に応じないといけないのでしょうか?

また、離婚届が受理されるのを防ぐ方法はありますか?

  1. まずは、相手から、すぐに離婚届を取り返して、処分してください。
  2. 相手から離婚届を取り返せない場合、市区町村役場の戸籍課に対し、すぐに離婚届不受理申出の手続きをしてください。
  3. 離婚届が受理されてしまった後は、協議離婚無効確認調停や、協議離婚無効確認訴訟のなかで争う必要が出てきます。

その結果、離婚が無効であることを認められれば、協議離婚成立前の身分状態に戸籍を訂正してもらえます。

 

離婚したくないのに離婚届を書いてしまった!離婚届の受理を防ぐ方法は?

本当は離婚するつもりが全くないのに、夫婦喧嘩などのために冷静さを失った勢いで、離婚届に署名・押印をしてしまうケースが時折みられます。

このような場合、あなたが離婚届に署名・押印をしてしまったからといって、そのまま相手のいいなりになって離婚に応じなければいけないわけではなく、離婚の成立を防ぐための様々な対抗策があります。

対抗策:離婚届が役所に受理される前

① 離婚届の処分

② 離婚届不受理申出

 

対抗策:離婚届が役所に受理された後

③ 協議離婚無効確認調停

④ 協議離婚無効確認訴訟

各対抗策について、くわしく解説していきます。

 

 

離婚届が受理される前の対抗策

離婚届を処分するか、すぐに離婚届不受理申出をします。

① 離婚届の処分

離婚届のイラストまず、相手と今すぐ話ができる状態であれば、あなたに離婚をする意思が全くないことを説明して、一刻も早く、離婚届を取り返して処分してしまうのがよいでしょう。

もしかすると、相手からは、すでに自分の記入部分にも署名・押印をすませ、離婚届が完成しているため、契約書などと同じですでに離婚の合意が成立しているのだから、そのまま届け出なければならない、などと主張するかもしれません。

しかし、離婚は、夫婦の身分関係に関わる重要な事項のため、①夫婦に離婚の意思があること、②戸籍法に定める役所への届け出という2つの要件を満たさなければ、法的に有効に成立しません(民法764条・739条)。

したがって、役所に離婚届が提出される前であれば、当然のことながら離婚は成立していません。

そのため、相手から離婚届を取り返せるのであれば、一刻も早くこれを取り返して処分してしまいましょう。

 

 

② 離婚届不受理申出

書類作成のイメージイラスト次に、相手から離婚届を取り返せない場合、一刻も早く、市区町村役場の戸籍課に行って、離婚届不受理申出(りこんとどけふじゅりもうしで)という手続きをしてください。

この手続きをしておくと、相手が離婚届を役所に提出してもこれが受理されなくなりますので、離婚の成立を防ぐことができます。

なお、北九州市であれば、各区役所の市民課または出張所に行っていただければ、この手続きができます。

具体的な手続きとしては、役所の窓口に「離婚届不受理申出」の用紙が用意されていますので、これに記入・押印をして、窓口に提出すれば完了です。

持参物としては、以下の物のみを持っていけば大丈夫です。

【持参物】

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなどの身分証明証)
  • あなたの印鑑(認め印でもかまいません。)

提出先の役所としては、全国どこの市区町村役場でも受付をしてもらえます。

ただし、注意しなければならないのは、あなたが提出した離婚届不受理申出は本籍地の市区町村役場に転送されますので、それまでの間に離婚届が提出・受理されてしまうと、一旦、離婚が成立してしまいます。

そのため、一刻も早く不受理申出の手続きをすることが必要です。

もし、時間的・場所的に可能であれば、あなた自身が本籍地の市区町村役場に行って手続きをしてしまった方が万全とはいえるでしょう。

不受理申出は、一旦手続きをすれば、あなた自身が離婚届の提出を行うか、またはあなたが不受理申出を取り下げるまでは、離婚届が受理されないという効力が継続します。

従来は、不受理の効力に6か月という期間制限がありましたが、現在では、特にその効力に期間制限はありません。

 

 

離婚届が受理された後の対抗策

弁護士以上は、離婚届が役所に受理される前の対抗策でした。

それでは、役所に受理されてしまった後は、どうなるのでしょうか。

離婚届が受理されると、一旦は協議離婚が成立し、戸籍上も、離婚が成立した旨の記載に変更されることになります。

しかし、離婚届が受理された時点であなたには離婚の意思がなかったのですから、上記に述べた離婚の成立要件のうち、「①夫婦に離婚の意思があること」の要件を満たしませんので、法的には離婚は無効であるとして争うことができます。

 

③ 協議離婚無効確認調停

調停を申し立てる方法は?

そして、この場合にとるべき具体的な対抗策としては、まず、家庭裁判所に対し、協議離婚無効確認調停を申し立てる必要があります。

協議離婚無効確認訴訟という裁判の手続きもありますが、まずは協議離婚無効確認調停を申し立てて、調停が不成立で終了した後でなければ、協議離婚無効確認訴訟を提起することはできません。

協議離婚無効確認調停は、原則として、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、申し立ての手続きをします。

申し立てに必要な書類等は以下のとおりです。

  • 協議離婚無効確認調停の申立書およびその写し(相手用のコピーと、あなた用のコピーが必要です)
  • あなたの戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相手の戸籍謄本(全部事項証明書。協議離婚が成立して別戸籍となっているため、それぞれの戸籍謄本が必要です)
  • 離婚届の記載事項証明書(離婚届が提出された市区町村役場で取得できます)
  • 1200円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手(何円分の切手が必要かは、それぞれの裁判所に確認する必要があります)

 

 

調停を申し立てた後の手続きの流れは?

調停その後、調停の期日が設定され、裁判所において、離婚が無効であるかどうかについて、調停委員を介して、相手と話し合いを行っていくことになります。

その結果、両者が、離婚が無効であることに合意ができれば、家庭裁判所が職権で調査をした上で、調停員の意見を聴き、「合意に相当する審判」という形で、裁判官が離婚の無効を確認する決定を行います。

そして、この「合意に相当する審判」に対しては、利害関係人が、審判の日の次の日から2週間以内に、異議を申し立てることができます。

もし、2週間以内に異議の申し立てがなければ、離婚の無効を確認する審判の効力が確定します。

この場合、その後の手続きとしては、家庭裁判所から、審判書の謄本と、審判確定証明書の交付を受け、これらを市区町村役場に提出すれば、協議離婚成立前の身分関係に戸籍を訂正してもらえます。

具体的には、以下のような流れになります。

審判書の謄本、審判確定証明書の交付を受ける

審判書の謄本、審判確定証明書は、家庭裁判所で申請すれば交付してもらえます。

家庭裁判所の窓口に備え付けの申請用紙がありますので、申請用紙に記入をして、交付申請をしてください。


【必要なもの】

・150円分×2通分の収入印紙

・返信用の切手(ご自宅に郵送で書類を送付することを希望する場合)

戸籍訂正の申請

審判書の謄本と審判確定証明書が入手できたら、審判が確定した後1か月以内に、市区町村役場にこれらの書類を持っていき、戸籍訂正の申請をしてください。

この場合、あなたの本籍地または住所地の市区町村役場に申請をする必要があります。

また、その際、戸籍謄本などの提出を求められることがありますので、市区町村役場に確認されるとよいでしょう。


【必要なもの】

・審判書の謄本

・審判確定証明書

協議離婚無効確認調停で離婚が無効であることに合意ができ、そして合意に相当する審判が確定すれば、戸籍が訂正され、問題は解決することになります。

 

 

審判に対して異議の申し立てがされてしまったら?

しかし、もし、審判に対して2週間以内に異議の申し立てがあった場合には、この審判の効力は失われてしまいますので、そのままでは戸籍の訂正をすることができません。

この場合、あなたとしては、さらに、次に説明する協議離婚無効確認訴訟を提起して争う必要が出てきます。

 

④ 協議離婚無効確認訴訟

協議離婚無効確認訴訟は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に提起します。

訴訟の期日においては、離婚届が提出された時点であなたが離婚の意思を持っていなかったことを主張し、これを証明するに足りる客観的な証拠を裁判所に提出する必要があります。

法律的には、あなたの側で離婚の意思がなかったことを証明する責任がありますので、証明に失敗すれば敗訴してしまいます。

そのため、難しい裁判となることが予想されますので、専門家である弁護士の力を借りなければ、有利に訴訟を進めることは困難とはいえるでしょう。

具体的には、たとえば、離婚届が提出される直前の時期について、夫婦が円満であり、家族旅行に行って楽しく過ごしていた写真があるなど、あなたに離婚の意思がなかったことを推認させる事情を主張・立証することが考えられます。

さらに、離婚届が記入された直後、あなたが相手に対して、メールやラインなどで離婚の意思がないことを伝えて離婚届の処分を依頼していたり、離婚届が提出された直後、市区町村役場に行って離婚届の記載事項証明書を取得して事情を確認したりしていれば、これらは離婚届の提出があなたの意思に反してなされたことを推認させる事情となりますので、これらの事情を主張・立証することも考えられます。

このように、離婚の意思がなかったことは、あなたの内心に関わる事柄ですので、直接裁判所に対して証明することができませんから、客観的な言動・事情を総合的に主張・立証して、あなたに離婚の意思がなかったことを裁判所に納得してもらう必要があるという意味で、専門家である弁護士の力が必要になる難しい裁判であるといえます。

その後、離婚の無効を確認する判決が下され、確定した場合は、判決書の謄本と、判決確定証明書を持って市区町村役場に行き、戸籍の訂正の手続きをすることになります。

 

 

まとめ

このように、一旦離婚届を書いてしまうと、迅速に対応しなければ取り返しのつかない事態となる可能性があります。

離婚届が受理されてしまった後でもあきらめる必要はありませんが、離婚の無効を認めてもらい、戸籍を訂正するためには、手続き的に相当な労力が必要となることがお分かりいただけると思います。

まずは、感情に任せて離婚届を書いてしまわないことが何よりも大事ですが、書いてしまった場合は、専門家である弁護士のアドバイスのもと、迅速に手続きを進めることをお勧めします。

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