離婚の際、私と子どもの名字や戸籍について、とるべき手続きは?

掲載日:2019年10月04日|最終更新日:2019年10月04日

離婚後の戸籍について質問です

私は近々離婚をする予定であり、子どもは私が引き取っています。

そして、離婚をした後は、仕事をしていることもあり、結婚中の名字をそのまま名乗りたいと考えています。

また子どもの戸籍も、相手方の戸籍ではなく、私と同じ戸籍に入れたいと考えています。

この場合、どのような手続きを取ればよいのでしょうか?

①離婚後、あなたが結婚中の名字をそのまま名乗るためには、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出する必要があります。

②お子さんの戸籍をあなたの戸籍に入れるためには、「子の氏の変更許可申立て」を家庭裁判所に行って、これが許可された旨の審判書謄本を取得した上で、役所に、その審判書謄本と「入籍届」を提出する必要があります。

 

離婚前名字や戸籍の変更はできない

離婚前は、夫婦で本籍を別々に移すことはできません。

弁護士これは、戸籍法6条が、「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。」と規定しており、これに基づき、1組の夫婦及びその夫婦と同じ氏の未婚の子を編製単位として戸籍を作っているためです。

名字についても、離婚前は、夫婦で名字を別々にすることは、できません。

弁護士これは、民法750条が、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定して、夫婦同姓制度を採用しているためです。

私個人としては、選択的夫婦別姓制度を導入すべきとは考えていますが、ともかくも、現行の法制度の中では、それができないことになっているのです。

今の戸籍に入っている夫婦とお子さん全員まとめてであれば、本籍を移すことはできます。

弁護士具体的には、転籍届に、戸籍筆頭者と配偶者の双方が署名・押印をして、これを役所に提出することによって、家族全員の本籍を新たな地に移すこと自体はできます。

しかし、転籍届によっても、上記のとおり戸籍法6条があることから、夫婦で別々の戸籍に移すことは、やはり、できません。

そこで、次に説明するとおり、相手方と別々の戸籍を作ったり、お子さんの名字をあなたの旧姓と同じ名字に変えるためには、離婚後に、様々な手続きを取る必要があります。

 

 

離婚後のあなたの名字と戸籍について、必要な手続きは?

【名字】婚氏続称の場合には、離婚から3か月以内に届出が必要!

離婚が成立した場合、そのまま放っておくと、あなたの名字は、結婚前の旧姓に戻ります(民法767条1項)。

したがって、離婚後にあなたが旧姓を名乗りたい場合、この点については、特に手続きは必要ありません。

上記と異なり、離婚後も、あなたが、結婚している間の名字(相手方と同じ名字)を名乗りたい場合(これを「婚氏続称(こんしぞくしょう)」といいます。)には、離婚の日から3か月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」(戸籍法77条の2の届)を役所に提出する、という手続きが必要です(民法767条2項)。

この届出には、特に相手方の同意などは必要なく、あなたが単独で手続きをすることができます。

したがって、婚氏続称をすることが決まっている場合には、離婚の日から3か月という期間内に提出が間に合わなかった、という事態を防ぐために、役所に離婚届を提出する際に、「離婚の際に称していた氏を称する届」も一緒に提出してしまうことをお勧めします。

また、これらの届を同時に提出すると、戸籍について、結婚前の戸籍にいったん戻ることなく、婚氏であなたの新たな戸籍が作られることになります。

離婚届も、「離婚の際に称していた氏を称する届」も、用紙を役所で交付してもらえますので、あらかじめ準備しておくのがよいでしょう。

 

【戸籍】婚氏続称などの場合には、新戸籍を編成することが必要!

また、離婚が成立した場合、そのまま放っておくと、あなたの戸籍は、結婚前の戸籍に戻ります。

しかし、あなたが婚氏続称をする場合には、結婚前の本籍に入っていた頃の旧姓とは別の名字を名乗ることになりますから、そこに戸籍を戻すことはできないため、新たな戸籍を作ることになります。

また、結婚前の戸籍について、戸籍内にいたご家族の方がすべて亡くなっているなどの事情により除籍されている場合などにも、そこに戸籍を戻すことはできないため、新たな戸籍を作ることになります。

また、新たな戸籍を作る具体的な方法ですが、婚氏続称の場合、「離婚の際に称していた氏を称する届」の中に「離婚の際に称していた称した後の本籍」という記入欄がありますので、これにあなたが希望する本籍地を記入することで大丈夫です。

この場合、本籍地は、あなたが自由に選ぶことができます。

一般的には、現住所地を本籍地とすることが多いでしょう。

これは、戸籍謄本を取得する場合には、本籍地のある役所に取得を依頼することになりますので、現住所地(やそれに近い地点)を本籍地と定めておけば、住んでいる町の役所で戸籍謄本が取得できるという点で、便利なためです。

離婚後の手続きの流れについてはこちらのページをご覧ください。

 

 

離婚後のお子さんの名字と戸籍について、必要な手続きは?

放っておくと、お子さんの名字と戸籍に変動はない!

離婚が成立した場合、そのまま放っておくと、お子さんの名字と戸籍には変動がありません。

つまり、お子さんとして、名字は相手方の名字のまま、戸籍は相手方の戸籍に入ったままになるわけです。

そうすると、あなたが親権者である場合であっても、あなたとお子さんの戸籍や名字が異なるという状態が発生し、不便が生ずることになってしまいます。

 

離婚後、あなたとお子さんの戸籍や名字を同じにするためには?

「子の氏の変更許可申立て」と「入籍届」の提出が必要!

弁護士そこで、離婚後、お子さんの名字と戸籍をあなたと同じにするためには、

①「子の氏の変更許可申立て」を家庭裁判所に行って、これが許可された旨の審判書謄本を取得する

② お子さんの名字の変更と戸籍の変更のため、役所に、その審判書謄本と「入籍届」を提出する

という手続きが必要です。

 

①「子の氏の変更許可申立て」を行う

具体的な方法としては、お子さんの住所地を管轄する家庭裁判所(複数のお子さんがいる場合、そのうちの1人のお子さんの住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てれば大丈夫です。)に対して、以下を提出して行います。

「子の氏の変更許可申立て」に必要な書類

子の氏の変更許可申立書

収入印紙 800円

連絡用の郵便切手(数百円分)

お子さんの戸籍謄本

父及び母の戸籍謄本

「子の氏の変更許可申立て」を行うと、標準的には、申立て後10日前後で、あなた宛てに、子の氏の変更を許可する旨の審判書謄本が郵送されてきます。

申立書の記載やその他の必要書類に全く不備がない場合には、申立てをしたその日に審判書謄本を交付してもらえることもありますので、裁判所に確認されるとよいでしょう。

なお、離婚後、あなたとお子さんの戸籍を同じにしたい場合には、「子の氏の変更許可申立て」は必ず必要です。

すなわち、あなたが婚氏続称をして、結婚中と同じ名字(相手方と同じ名字)を名乗っている場合、お子さんの名字も結婚中の名字と同じですが、この場合でも、「子の氏の変更許可申立て」は必要となります。

その理由は、相手方の戸籍に入っているお子さんの名字と、婚氏続称をして新たに編成した戸籍に入っているあなたの名字は、文字の上では全く同じですが、法律上は別の戸籍に入っている異なる名字とされるためです。

言い換えると、同じ戸籍に入るためには、法律的な意味での名字が同じでなければなりませんので、「相手方の戸籍に入っているお子さんの名字」から、「婚氏続称をして新たに編成した戸籍に入っているあなたの名字」にお子さんの名字を法律的に変更する必要があるということです。

文字の上ではお子さんの名字は全く変わりませんが、手続きのみ必要、ということになります。

②審判書謄本と「入籍届」を提出

そして、審判書謄本が入手出来た後は、お子さんの名字の変更と戸籍の変更のため、役所に、その審判書謄本と、お子さんをあなたと同じ戸籍に入れるための「入籍届」を提出することで、手続きが完了します。

 

離婚後の手続きの流れについてはこちらのページをご覧ください。

 

 

まとめ

このように、離婚した後、あなたと子どもの名字や戸籍を、あなたが望むように変更するためには、場合によって様々な細かい手続きが必要になります。

婚氏続称には3か月の期間制限があったり、「子の氏の変更許可申立て」は家庭裁判所を使う手続きであるなど、正確な知識を持っていないと、あなたが望む状態を達成することができない場合もあるかもしれません。

当事務所では、離婚だけでなく、離婚後の手続きにも詳しい弁護士が多数所属しており、離婚成立後も様々なサポートをさせていただきます。

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