未払いの婚姻費用

174333未払いの婚姻費用(生活費)がある場合に、これを財産分与で考慮することができるか、という問題があります。

例えば、年収500万円の夫、年収120万円の妻、10歳の子どもの世帯で、夫が別居し、妻子に対して婚姻費用をまったく支払っていなかったため、妻はやむなく借入金や親兄弟の援助により生活費を賄っていたとします。

別居から3年後、離婚することになり、財産分与の対象財産が合計1000万円であったとします。
 
通常であれば、財産分与の2分の1ルールでは、夫、妻とも500万円ずつの財産を取得するはずです。しかし、このような事案では、未払いの婚姻費用を精算しないと公平を欠きます。

そこで、実務では、未払い婚姻費用がある場合、財産分与で考慮できるという扱いをしています。

 

具体的算定方法

財産分与で未払い婚姻費用を考慮する方法ですが、

 

①まず、婚姻費用の分担額を算定する際の算定方式により、未払い婚姻費用を算定します。

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②次に、財産分与の請求権者と支払義務者の資産、収入等を検討して、支払義務者の資力が十分であれば、全額を加算し、そうでなければ、一定額を加算するという方法が採られています。

上記の例では、婚姻費用が月額8万円とすると、合計288万円(8万円☓3年)となります。
夫の資力は十分ですので、288万円全額を加算します。

その結果、夫の取得分は212万円(500万円−288万円)、妻の取得分は788万円(500万円+288万円)となります。